HOME > 研究最前線 > 明日を創る若手研究者(古本 猛憲)

横浜国立大学 教育人間科学部

古本 猛憲

Takenori Furumoto

主な経歴

2004年3月

大阪市立大学理学部物理学科 卒業

2006年3月

大阪市立大学大学院理学研究科
前期博士課程 修了

2009年3月

大阪市立大学大学院理学研究科
後期博士課程 修了

2008年4月 - 2009年3月

大阪市立大学大学院理学研究科
日本学術振興会特別研究員(DC2)

2009年4月 - 2010年3月

大阪市立大学大学院理学研究科
日本学術振興会特別研究員(PD)

2010年4月 - 2012年3月

京都大学基礎物理学研究所 研究員

2012年4月 - 2012年10月

理化学研究所仁科加速器研究センター
基礎科学特別研究員

2012年11月 - 2015年3月

一関工業高等専門学校 講師

2015年4月 - 2016年3月

一関工業高等専門学校 准教授

2016年4月 - 現在

横浜国立大学 准教授

微視的観点による原子核反応の研究

やりたいことに遅すぎるということはない

私は小さいころから自然科学分野に興味を持っていました。また、高校生のころには研究にも教育にもあこがれがありました。ただ、大学に進学してからも、まだ研究を仕事にしようとは思っていませんでした。私が研究職になろうと決心したのは、大学院に進学してからです。ですので、物理学の原子核分野を選んだのは偶然の結果に近いかもしれません。大学院に進学後、一般の企業への就職活動を行いましたが、特に就職したいという気持ちになった会社はありませんでした。そこで改めて、私は勉強やこの研究が好きであると気づき、そこでやっと博士課程への進学を決め、研究職になることを決心しました。他の研究者の方々よりもあいまいで時期も遅いと思いますが、やりたいことに遅すぎるということはないと思います。

私の研究の概要は、おおざっぱに言えば強い相互作用についてです。ただし、核子間に働く強い相互作用ではなく、原子核間に働く相互作用です。核子間に働く強い相互作用の場合、核子は自由空間に存在することができるので、一度決めてしまえば特殊な場合を除いて大きな変化はありません。しかし、原子核のように、核子が多数存在すると核媒質効果によって強い相互作用は一気に複雑化していきます。私の研究では、その核媒質効果によって現れる多体力やエネルギー依存性を、実験観測可能な重イオン散乱反応の物理量で検証を行っています。

身近な研究者と議論を重ねながら理解を進めていくこと
にやりがいを感じます

新しい知識を本や論文で得ることも楽しいのですが、研究を進めていく中で得た新しい知識というものもたくさんあります。その新しい知識について、これまでの文献を調べながら確認し、さらに、身近な研究者と議論を重ねながら理解を進めていくことにやりがいを感じます。過程において、さまざまな意見との衝突もあり、そのときは難しいと感じる場合もあります。しかし、その難しさも正しい理解に繋がる過程のひとつだとして受け入れ、次に進むことができたときは結果的によかったと思います。

私は高専教員の経験もありますが、当時は研究よりもどちらかといえば教育が重視される環境でした。その中で研究を進めるには少し工夫が必要になります。他の研究者と比べて研究に費やせる時間は短く、細切れになってしまうので、必ずメモを残しながら少しずつ研究を進めるようにしていました。また、研究の進め方としては、とにかくチャレンジしてみることが大切だと思います。疑問に思ったら些細なことでも調べてみる。やってみたいことがあったらやってみる。些細なことひとつひとつに意味はなくても、それらを積み上げていくことによって、それが自らの力になっていくと思っています。

先輩方に負けないようにがんばっていきたい

偉大な先輩方がたくさんいるので、そのような先輩方に負けないようにがんばっていきたいと思います。その中で、ひとつでも多くの興味深い発見ができればと思います。

”自然界の四つの力”のうちのひとつとなる強い相互作用
について、十分な研究を行うことができること

私が物理に興味を持ちだしたのは、高校で”力”の単元を学んでからです。スポーツをやっていたからこそ物理に興味を持ち、しかも”力”に興味を持ったのかもしれません。物理を記述する上で、そのような”力”を理解することが重要で必要不可欠であると思います。原子核物理学分野では、基本相互作用と呼ばれる”自然界の四つの力”のうちのひとつとなる強い相互作用について、多体効果も含めて十分な研究を行うことができると思います。


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