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Asia Pacific Center for Theoretical Physics

広野 雄士

Yuji Hirono

主な経歴

2009年3月

東京大学理学部物理学科 卒業

2011年3月

東京大学大学院理学系研究科
修士課程修了

2011年4月ー2014年3月

日本学術振興会 特別研究員(DC1)

2014年3月

東京大学大学院理学系研究科
博士課程修了

2014年4月〜2016年3月

日本学術振興会 海外特別研究員
(受入研究機関: Stony Brook University)

2016年4月〜2018年8月

Brookhaven National Laboratory, Research Associate

2018年9月ー現在

Asia Pacific Center for Theoretical Physics, Junior Research Group Leader

ハドロン物理学、非平衡・量子多体系の物理

大学の物理学科に進学したものの、企業でインターン等をしていて物理の勉強は真面目にしておらず、物理の研究をするつもりはありませんでした。ある日原子核物理の授業を受けている時に、原子核内の陽子・中性子のエネルギーを簡単な計算で見積っているのを聞いて、「目に見えないほど小さな世界で起きてることが、ちょっと考えるだけでわかるなんてすごい」と感じたのをきっかけに、物理をより深く勉強したいと考えるようになり、大学院への進学を決めました。

クォークやグルーオンからなる系が、高温や高密度などの様々な環境においてどういった性質を持っているのか、というのに興味を持って研究しています。またそれ以外にも、場の理論で記述される様々な多体系の非平衡的性質に興味を持っています。対称性やトポロジーの考え方を通して、物質相のあらわれや系の振る舞いを理解することに興味があります。

研究をしていて楽しいのは、研究対象の理解が進むにつれて、自分自身のものの見方や考え方そのものが変容してゆくことですね。その経験の楽しさが、研究を続ける上での最も大きなモチベーションになっていると思います。

これまでサイエンスの俎上にうまく載っていなかったものをサイエンス化してみたいです。

原子核物理に特徴的な面白さは、様々な分野の境界にあることによって生じる多様性だと思います。扱う対象(クォーク・グルーオン)は素粒子ですが、多体問題を考えることになるので物性物理とも深く関係します。一口に理論研究と言っても、実験に比較的近い研究から遠いものまで、様々なスペクトルがあります。結果として人によって様々な研究の軸が存在することが、この研究分野の豊かさと言えるのではないでしょうか。原子核研究の「森」では、多様な研究が交錯しながら発展しており、歩いていると想像もしていなかったようなものに出会うことがあって、それはすなわち新しい自分を見つけることでもあります。原子核物理は、私たちが失敗を繰り返しながらゆっくりと成長していくのを見守ってくれる、ゆりかごのような存在だと感じます。


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