第12回日本物理学会 若手奨励賞(実験核物理分野)受賞者
原子核談話会 - 日本物理学会若手奨励賞

日本物理学会実験核物理領域第12回若手奨励賞受賞者についてご報告致します。
核物理委員会のもとに設置された選考委員会で審議の上推薦し、2017年10月14日開催の日本物理学会理事会において、後神利志氏(東北大学)の受賞が承認されました。

後神利志氏(東北大学理学研究科)


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以下は、対象論文と受賞理由です。


T.Gogami et al.,"High Resolution Spectroscopic Study of (_Λ^11)Be ", Physical Review C 93, 034314 (2016)

T.Gogami et al.,"Spectroscopy of the neutron-rich hypernucleus (_Λ^7)He from electron scattering", Physical Review C 94, 021302(R) (2016)

これら2本は、後神氏が博士論文のテーマとして米国ジェファーソン研究所(JLab)において実施した JLab E05-115 実験に関する研究成果をまとめた原著論文で、電子ビームによるK生成過程を用いて、ハイパー核励起スペクトルを厳密かつ詳細に測定する手法を確立し、2種類のP殻の中性子過剰ハイパー核の質量測定に成功した。また、この結果を鏡映核の質量と比較することにより、P殻ハイパー核では荷電対称性の破れが小さいことを実証した。 これまでP殻のハイパー核でも、核子がS殻までのハイパー核と同様に大きな荷電対称性の破れが報告されてきたが、エネルギー絶対値を高精度で較正することで、従来のP殻ハイパー核準位の基準として用いられてきた測定値が正しくないことを実証し、P殻のハイパー核の荷電対称性の破れの問題に結論を導いたことは極めて高く評価できる。このデータは、荷電対称性の強い破れを示唆するS殻ハイパー核と比較することにより、ハイパー核の理論構造模型に対する制限を与え、ハイパー核の荷電対称性の破れの起源を理解する上で重要なデータである。

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 おめでとうございます.

 後神氏には3月に東京理科大学で開催される第73回年次大会において若手奨励賞受賞記念講演を行っていただきます。

選考委員長 岩崎雅彦

 

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